あひるのえほん
SINCE 2000.9.7

 

必要なもの





空が、遠く消え入りそうな青色で、
きっと誰かの頭の上にもそんな空があって。

僕は大抵のことを知らないけど、
それは別にたいしたことじゃなくて、

今、なんか、とても大切なことを知った気がする。






僕のうさぎは大事なうさぎ、
雨に濡らしちゃいけなくて、
風邪をひいたら大変で。

ぴょこぴょこ奴は外に出て、
雨が降ったら大変で、
僕は慌てて走ってく。

またまた奴は外へ出て、
お空は暗い曇り雲、
僕の気持ちがわからぬのなら、
ほおって置こうそうしよう。

ぴょこぴょこうさぎは走ってく、
見えないとこまで走ってく、
一人ぼっちで寂しいの、
なぜだか僕のひとりだけ。





あっちへ行こう。
ぼくはあっちを指差した。





目を瞑って、想像してみる。
手をずーと伸ばして、
透明なあなたの手が、どこまでも伸びていく。
森や木や鳥や小鹿達をあなたの透明な大きな手が包んでいく。
ちょっと黒いとげとげしい怯えた小さな丸いものも、
あなたの大きな透明な手が、優しく包んでいく。
ちょっと黒いとげとげしい怯えた小さな丸いものは、
あなたの大きな透明な手に包まれて、
ぷるぷる震えることなく、穏やかに眠ることができる







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