あひるのえほん
SINCE 2000.9.7

 


みっつかよっつ

いつつかむっつ

ななつかやっこ

どうしよう


ひとつとふたつ

ふたつとみっつ

むっつとななこ

ここのつがとう


しろときいろとみどりとぐんじょ

くろはうすめてしろにしよ

とうとうあかいぴんくがはだいろ

きょうとあしたとななめみぎ







今朝はなんだか、薄暗い
朝だというのに太陽がでてこない。
いつもなら森から出てきて、村の中をとことこ散歩をする時間なのに
今朝は森の枝の上ですやすや眠っているみたいだ
年になんどかこんな日がある
だれか、森に行って、黄色い太陽をたたき起こしてくればいいのに
枝から落として、起こしてやればいいのに
村の大人は、太陽は太陽の好きなようにやらせなきゃいけないと言う
あんな小さなのんびり屋さんは捕まえて、紐をつけてしまえばいいのにと思う。
そしたら、朝がくるのも夜がくるのも、ぼくの思うとおりに出来るのに
小さくて黄色くてピヨピヨ鳴く太陽のせいで、
朝が来なかったり、夜がきたりするのは、ちょっとうんざりだ






「なんですか。ごようですか。」

とぽとぽ、お家までの道を歩いていると
ちいさな人がお話をしてた。

「どうですか。おはなしですか。」

ちいさな人は、僕の隣りを歩きながら
僕に向かってお話をしている。

僕に向けてお話をしているんだけど、
僕に話しかけている感じじゃない。

たまたま僕の方を向いて、たまたま僕に話しているように聞こえる
内容の言葉を話している感じ。

「おそとですよ。だいじょうぶですか。」

小さなひとは、目が、まん丸で、ビー球みたいな目をしていた。
あんまり僕は怖くなかった。

「どうします。どうしましょう。」
「こんにちは。」

僕は小さな人に話しかけてみた。

小さな人は、口を少しきゅっとして、相変わらず僕の方に顔を
向けたまま、僕と同じ速さで歩いていた。

それ以上、話しかけると、きっと小さなひとは、いっぱいになってしまうので、
それ以上は話しかけなかった。

「だれか。だれかおりますか。」

小さなひとは、またお話をした。

僕は小さな人にとてもあこがれた。
真ん丸いビー球みたいな目をして、お話をする小さな人。

たいていは村のどこかを歩きながら、お話をしているので、
会いたいとおもえば、だいたい会える。

「ここは、どこですか」
「あした、おりますか」

「そうでしたか」
「どこにいきますか」

小人のような、さんかくの帽子をかぶって
小人のようなフェルトの服をきたちいさい人







ぶん、ぶんっ、ちゃっ。
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。   

            ぶん、ぶんっ、ちゃっ。
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。

              ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。

ぶん、ぶんっ、ちゃっ。
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。

            ら、ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 ら、ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。
            ら、ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 ら、ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。

            ら〜、ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 ら〜、ら〜ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。

ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 るら〜ら〜
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。 ら〜ら〜ら〜

ぶん、ぶんっ、ちゃっ。
ぶん、ぶんっ、ちゃっ。







だいじょうぶ。

君がおもってるより、世界はいつも もうちょっとひろい

**********

きみのいる世界が、きみの思いを否定しながら迫ってきても

ほんとのせかいはいつももうちょっと広くて、

むこうがわのひろいせかいは、君のみかただ

********

宇宙のなかの銀河の中の太陽系の中の地球の中の
日本のなかの宮城の中の仙台の中の旭ヶ丘の中の小山家のなかに
すんでいる

どこのすんでいるかをきめるのはおいら

なるべく広いところに住んでいたいと願うのです。







きみのうたが ききたいのに
きみはうたって いないんだ

やさしい うたがききたいのに
きみは うたっていないんだ

のぞまない ところで
ごちゃごちゃ しているくらいなら

なんとしてでも にげだして
やさしいうたを うたってよ

みんなが ききたい
やさしい うたを







たかしくんは、自分が溺れていると
溺れている鈴木くんを助けられないので
きづつかないことにしました

松島くんは敏感でいると
泣いている佐藤君を助けられないので、
鈍感になることにしました

高橋君は、マラリアで自分のむすこが死ぬかもしれないので、
殺虫剤を森じゅうにまきまくりました。

藤井君は、中西くんを助ける薬を運んでいる途中に
死にそうなゆうや君にであって、ゆうや君に薬をあげたら
中西君が死んでしまいました。

それを聞いて、中西君の友達の山崎くんが、藤井君を
やっつけました。

それを聞いて藤井君のお父さんの四郎くんが、
山崎くんの息子のさすけくんを埋めてしまいました。

戦争はんたい。
かんきょうだいじ。






ねむるのがもったいないからねむりたくない
     VS
あしたがくるからねむりたくない







ちょうどいい枝を拾ったので、
砂浜に線を引いてみた。

なんとなく、いい気持ちになったので、
もっとずーっとまっすぐに線を引いて歩こうと思った。

用もないのに、1日に何回もコンビニに行くより、
テレビのチャンネルを2分おきに回すより楽しく思った。

カンカン照りの昼間は暑くて、帽子もかぶらないで来ちゃったから、
すぐに倒れちゃうなと思ったら、意外に倒れなかった。
ぼーっとしてなんだか眠くなってきたりしたけど、
僕は、なかなか丈夫にできているみたい。
高校球児にも、砂漠の民にも、もしかしたらなれるかもしれない。

僕はルールを作ってみた。振り向かないこと。止めないこと。
棒を手に持って、砂浜に線を引いて歩く。
もう何日も歩いたからきっと、スタートが見えないくらい
僕の線はずっと向こうから続いているはずだ。
どんな景色か見てみたいけど、振り向いちゃいけない。
あと、止めてもいけない。
でも、自分で作ったルールだから、別に誰にも迷惑かけないから、
いつでもこのルールは無しにしていいんだ。
今のところそんなつもりはないけど。
たいてい僕の自分ルールは途中でなくなるって事になってる。

カミナリが鳴り出した。
もうすぐ雨が降る。
嬉しくてドキドキする。
雨がふったら、いっぺんに涼しくなって、体も洗えて、
砂のじゃりじゃりもきれいになる。
口をあけたら美味しい雨水も入ってくる。
早くふらないかなぁ。

砂浜は歩きにくくて、ずっと棒を持ってるから、手の感覚もなくなってきた。
手を見てみないと、棒をもっているのか、いないのかがわからない。
棒を海に放り投げて、止めようかと思った。
想像してみた。
あんまりよい気持ちじゃなさそうなので、もうちょっと線を
引いて歩いていくことにした。

誰かいないかなと思う。
なにかないかなと思う。
月が出た夜の海はきれいで怖い。
棒を砂浜につきさして、座って海を眺める。
僕が怖いって思ってても、綺麗って思ってても、
同じように波が来る。
僕は、歌を歌う。
しばらくうたったら、また砂浜に線を引いて歩く。

誕生日プレゼントを買わなきゃいけないんだ、時間がないのに。

僕は前を向いていて、前を向くと前がある。

そんでもって、砂浜に線を引く。

誰かいないかなと思う。
なにかないかなと思う。
いつかきっと君に出会うんだろうなぁと思う。
向こう側から僕と同じように、線を引きながら
やってくるかもしれないし、それとも全然違う方から
来るかもしれない。

それでもきっと君に出会うんだろうなぁと思う。
線は引いていなくても、どこかで何かをしているんだろうと思う。
だから、僕はここで線を引いて歩く。
まだ会ったことないけど、なにか届いたらいいなぁと
思って、線を引いて歩くことにした。







誰も僕に出会わないことを祈ろう







たくさんのひとのものがたりをもとういきずらくなるけどいろんなことができなくなるけどなるべくたくさんのひとのものがたりをもとうあなたと同じたくさんのものとうんざりするくらいのいろんなことをかんがえているたくさんのひとのものがたり







かたちづくって はっぱができて

みきがすくすくのびたなら

ねっこをはやし もりになろう








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